てんかん外科
てんかんは、脳内の神経細胞に過剰な電気的放電が生じることで、反復性の発作を引き起こす慢性的な脳疾患です。その症状は多岐にわたり、全身のけいれんといった典型的なものから、「意識が遠のき、応答がなくなる」「身体の一部がピクッと動く」「特有の感覚(既視感や異常な視覚・聴覚等)を覚える」といった多彩な臨床症状を呈します。
本邦における有病率は人口の約1%と報告されており、小児期から成人期、高齢期に至るまで、あらゆるライフステージにおいて発症する可能性があります。適切な診断に基づいた治療介入を行うことで、発作の抑制や生活の質(QOL)の向上が期待できます。
当施設では、2015年に小児科、脳神経内科、精神神経科、脳神経外科が一丸となり「てんかんセンター」を設立いたしました(https://www.huhp.hokudai.ac.jp/center_section/tenkan/)。日本てんかん学会より「包括的てんかん専門医療施設」の認定を受けており、全世代の患者さんを対象に、診断から薬物療法、さらには外科的治療までを一貫して提供する包括的な診療体制を整備しております。
抗てんかん薬による内科的治療を行っても発作が十分に抑制されない「難治性てんかん」の場合には、外科的治療の適応を検討します。当施設は長時間ビデオ脳波、PET、SPECT、高感度MRI、脳磁図(MEG)検査などの先進的設備を備えており、これらの検査を組み合わせることで、てんかんの原因となる脳の部位(てんかん焦点)を特定します。特定された焦点部位を外科的に切除することが可能であれば、てんかんを根治できる可能性があります。また、焦点の特定が困難な場合や重要領域に近接している場合であっても、迷走神経刺激療法(VNS)や脳深部刺激療法(DBS)といったニューロモデュレーション療法を適切に選択することで、発作の頻度や重症度の改善を目指すことが可能です。

