基礎研究
Basic Research
ソフトマターを用いた新たな塞栓物質の開発
脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻、慢性硬膜下血腫などの治療では、血管内から病変血管を閉塞する液体塞栓物質を用いた低侵襲治療が広く行われています。しかし、現在臨床で使用されている塞栓物質には、カテーテルへの付着による手技上のリスクや、溶媒に由来する神経毒性、使用量の制限といった課題が残されています。
本研究では、北海道大学で新たに創製した水溶性カチオンパイポリマーに着目し、これらの課題を根本から解決する新規液体塞栓物質の開発を進めています。このポリマーは、血液中の成分と静電相互作用によって瞬時にゲル化する(下図)一方で、カテーテル表面には付着しないという、従来にない特性を有しています。そのため、血管内で安定した塞栓を形成しながら、安全かつ操作性の高い治療が可能になることが期待されます。 これまでの基礎実験および動物実験では、十分な血管閉塞効果と短期的な安全性が確認されており、現在はX線透視下での視認性の向上や投与量・投与速度の最適化など、臨床応用に向けた最終仕様の確立に取り組んでいます。本研究は、医学と高分子化学の専門家が連携する学際的な取り組みであり、脳血管内治療の安全性と治療成績を高める次世代塞栓材料として、将来的な臨床実装を目指しています。


