北海道大学 大学院医学研究院 脳神経外科

研修体験記

北大脳神経外科チーフレジデントを終えて

舘澤諒大

 我々北大脳神経外科は、伝統的にチーフレジデント制で研修を行っています。卒後7年目までに北大病院のチーフレジデントを担当し、入退院の調整、手術の事前準備(手術室や麻酔科Drとの調整、手術機材の管理・調整など)、全病棟患者さんの把握を行うという、病棟全体の責任者として仕事を任されます。これまでのような個別に患者さんを担当するのではなく、運営の側から一歩広い視野で仕事を行います。初めての経験で戸惑う事も多かったのですが、他の後期研修医のメンバーとチーム一丸となって病棟を守り、手術室のスタッフの方々や業者さんと密に連絡を行いスムーズな運営を行うことは責任が高い事以上にやりがいのある仕事でした。この経験を早い段階で出来る事は北大ならではのプログラムであり、一歩進んだ貴重なものと感じています(他の施設ではなかなかないそうです)。当然、多くのスタッフの先生方に陰ながら支えて頂いているのは言うまでもありませんが。ぜひ、幅広い経験と視野を得られる北大脳外科へ皆さんお待ちしております。

北大脳外科の研修体験記

澤谷亮佑

 私は北大脳神経外科へ入局してからの研修を、北大病院、苫小牧市立病院、渓和会江別病院で行いました。市中病院である苫小牧市立病院や渓和会江別病院では、基本的な脳卒中の急性期治療や管理について学び、開閉頭などの基本的な手術手技も経験しました。北大病院では高難度な手術、悪性腫瘍に対する化学療法、小児、機能外科など、大学病院ならではの症例を数多く経験できました。
 このように大学病院と市中病院を往復しながら幅広い症例をバランス良く経験することで、一人前の脳神経外科医となるために必要な知識と技術を確実に習得できることが、北大脳神経外科の強みだと思います。
 入局4年目(卒後6年目)からは病棟チーフを担当しました。病棟チーフは特定の患者の担当を持たず、それぞれの担当医である後輩の指導をしながら、病棟の入院患者全体を管理する後期研修の集大成というべき役職です。加えて入院や手術日程の調整、手術道具の管理、総回診の進行なども担当し、医学的な知識のみならず、医療を行う上で必要なノウハウも学んでいきます。また基本的にすべての手術症例に参加できることが大きな特徴で、開閉頭やアプローチの機会も多く得られます。
 2020年には専門医試験を受験し、合格することができました。北大脳神経外科での研修で得た知識と経験が、専門医試験にも大きく役立ったと実感しています。
 皆さんの入局を待っています!

チーフレジデントシステム

岡本迪成

 北海道大学医学部脳神経外科では、卒後7年目の専門医試験受験の前に、チーフレジデントという登竜門を経験します。私の場合は2つの市中病院と2回の大学病院を経験してからのチーフレジデント着任となりました。 基本的にそれまで臨床業務の枝葉末節に追われる生活でしたが、チーフレジデントは仕事内容が一変し、病棟全体に目を向け、さらには手術・入院に関わるマネジメントにも携わります。仕事内容も患者さん以外のスタッフとコミュニケーションをとる機会が増え、脳神経外科医の仕事を相対的に、より俯瞰して知ることができます。一方でチーフレジデントは基本的にすべての手術に参加し、手技や手術において求められる配分も増えます。特に脳腫瘍、血管障害、脊髄、機能外科と各分野横断的にそれぞれの先輩のそれぞれの考え方を通じて手術を学び、広い視野で手術を見ることができます。このように脳神経外科医という仕事に対してマクロに、ミクロに集中曝露されることにより、私は大きな成長の機会を得ることができたと思います。 専門医試験の勉強は当初、膨大でうんざりしてしまいますが、勉強を始めると研修中に諸先輩方、時には同期や後輩と話した内容が思い返されることが多く、研修が非常に網羅的だったことに驚きました。口頭試問で求められる踏み込んだ質問でも、日々の手術で求められる術前の検討や、手術中の会話、術後の考察を行っていたことが力になっていたことを実感しました。 専門医試験合格においても、一人前の脳神経外科医を目指すにおいても、この研修プログラムはよいスタートになるでしょう。

北大脳神経外科研修プログラムと専門医試験

髙宮宗一朗

 脳神経外科の専門医試験は、卒後7年目(初期研修終了後5年目)に受験資格が与えられます。初日の筆記試験に合格すると、翌日もしくは翌々日の口頭試問に進むことができます。どちらも各ジャンルの幅広い知識が要求され、研修施設によっては全く経験したことのないような疾患に関する問題もあると聞きますが、北大およびその関連施設で研修する中で、自然と多様な疾患の勉強ができていたのだと、専門医試験を通じて改めて実感しました。「大学のカンファレンスで鍛えられていれば大丈夫」という、歴代の先生の言葉を信じ、ほとんど無勉強で臨んだ口頭試問も、確かに毎週の総回診の延長であり、無事に合格することができました。日々の研修は大変かもしれませんが、まずは脳神経外科専門医になるという第一目標に向かって、毎日一歩ずつ成長できる研修プログラムだと思います。

チーフレジデントを終えて

月花正幸

 私は、慈恵医大を卒業し初期研修の後に北大脳外科での後期研修を選択しました。北大の後期研修は、古くからチーフレジデント制度をとっております。その内容は後期研修4年間の間に半年から一年のローテーションで関連病院と大学病院にて勤務するもので、後期研修の締めくくりとして大学病院にてチーフレジデントを全うするものです。大学病院にて、腫瘍・血管障害・脊髄・機能・小児と多くの疾患を学び、関連病院にて脳外科のcommon diseaseの手術を数多く執刀し、チーフレジデントになる頃には脳外科一般における幅広い知識と技術を得ることができます。チーフレジデントとは後期研修医を束ね、大学病院での臨床において中心的な働きをする人物で非常に役割が多く責任も重いですが同時に多くの症例を経験することができ、困難な症例を執刀することができるようにまで成長します。私自身、チーフ終了時までに多くの血管障害の手術を執刀し、腫瘍や脊髄の症例も経験することができました。後期研修先を決める際に非常に悩んだ末、手術の美しさに惚れ込み北大脳外科に決めましたが、今では北大の伝統的なチーフレジデント制度を終了したことは私にとって大きな糧となっております。後期研修は、脳外科医の素地を形成するうえで非常に重要な期間だと思います。是非、我々と共に北大脳外科で後期研修をしましょう!お待ちしております。

北大脳外科におけるチーフレジデント制度について

東海林菊太郎 

 医師6~7年目が担当する役職で、全員が経験します。任期は約半年です。レジデントを統括し、すべての入院患者および救急患者の対応など臨床面のみならず、検査や手術のアレンジなど実務面も含め多岐に渡る業務をこなします。基本的にすべての手術に参加し、重要なパートも任されます。手術含めた様々な臨床のシチュエーションを経験することができ、“一人の脳神経外科医として対応する力”が濃密に形成される時期でした。病院にいる時間は誰よりも長く苦労も絶えませんが、レジデントとともに“チームとして過ごす充実した時間”でもありました。何十年も続いている歴史が示すように、“優れた脳神経外科医の礎を形成する洗練されたシステム”であると感じています。